6月マンスリー『百万円と苦虫女』上映会レポ
去る6月8日(土)、外は小雨の降る中、6月のマンスリーセレクト『百万円と苦虫女』上映会が行われました。主演の蒼井優さんが数日前にご結婚を発表、メディアを賑わせたピエール瀧さんも出演する作品とあって、期せずしてタイムリーな上映会となりました。
自分を主張せずまわりに流されるように生きていた鈴子(蒼井優)が、ひょんなことから“前科持ち”になり、百万円を貯めて実家を出ることを決意。その後も百万円を貯めたら転居を繰り返す中で、出会いや恋を経験しながら戸惑いながら、いじめから逃げず前を向こうとする弟の手紙をきっかけに、鈴子自身も変わろうとて新たな旅立ちへ----今回のセレクターの菊池信太郎さんが、見どころとして真っ先に挙げた、蒼井優さんと鈴子のシンクロ感という言葉のとおり、鈴子の中に蒼井さんの魅力が全編に溢れ出ていた作品でした。できるだけ人とは関わらず静かに控えめに暮らしたい鈴子だけど、そりゃあ、みんな放っておくわけないよなあ、と。
ご常連のお一人が、「これまでドキュメンタリーの多かったシネマ・デ・アエルでは意外なセレクトだったけど、最初から最後まで楽しめた」とおっしゃっていましたが、今回は、蒼井さんのご結婚報道の影響もあってか、宮古市外の方、親子連れはじめ、初めてのご来館と見受けられる方も多かったです。
上映後のコメントでは、蒼井優さんや共演の森山未來さんに対する賞賛や、ひとところに根を下ろさず引越しを繰り返す鈴子に対する共感などの他にも、恋人どうしになった鈴子(蒼井さん)と中島くん(森山さん)のあいだに距離が生まれる二人の会話シーンで、「ふたりの前に置かれたグラスの氷がカランと落ちたのが、偶然のことではあったと思うが、印象的だった」、あるいは、「山へ行く編」に出てきたバスの色がとてもかわいかったといった、ともすれば見過ごしがちなディテイルへの好感なども挙げられました。
こうして、他の人の視点や感想を聞き、みんなで分かち合う時間は、シネマ・デ・アエルの上映会の特長の一つですが、もっと多くの方にも、映画を観た後で語り合うことの楽しさを体感していただければとても嬉しいです。
来月のマンスリーは、7月12日(金)、13日(土)。軽い知的障害を持った真白の初恋ストーリー『真白の恋』です。よろしくお願いいたします。